2010626 ランダム
 HOME | DIARY | PROFILE 【フォローする】 【ログイン】

第16話 新たな住居

第16話 新たな住居

「久しぶりだな、シンジ。」

「あなたが僕の父さんなんですか?」

「な、なに言ってるのよ、シンジ君!あなたのお父様でしょ?!」

「シンジ、お前のことは葛城一尉に一任してある。今後は彼女の指示に従え。」

「葛城さんに一任?指示って、いったい何の話??」

「お前は、エヴァンゲリオン初号機専属パイロット サードチルドレンとなって人類を滅亡から救うために使徒と戦うのだ。」

「僕が?父さん達は戦わないの?そのためのネルフじゃないの?」

「エヴァには選ばれた者しか乗ることは出来ない。そして、お前が一番上手く扱うことが出来るのだ。」

「僕が?本当に?」

何故かニヤリと笑うシンジ。

「シ、シンジくん!どうしたの?なにがおかしいの?」

ネルフ内で、誰もが畏怖を感じる総司令、碇ゲンドウを相手にからかうように笑うシンジを見て、ミサトは気が気ではない。

「いえ、そんな都合の良い話なんて有るのかな、と思っただけですよ。」

笑いながらミサトに答えて、ゲンドウに向き直るシンジ。

「イヤだと言ったらどうするの?」

「イヤならば、もと居た所に帰れ!」

「シンジ君!これは人類全ての命がかかってるのよ!イヤとかイヤじゃないとか言うレベルの話とは違うのよ!!」

慌ててミサトが話に割り込もうとするが、意に介さずゲンドウは続けた。

「人類の存亡を賭けた戦いに臆病者は不要だ!」

「怪我した女の子や何も知らない子供を戦わせて、地下に潜って隠れているような臆病者達は必要なの?」

「・・・・・・・・・・・・・・」

シンジの皮肉に一言も返すことの出来ないミサト。
しかし、何を考えているのか、何も考えていないのか、ゲンドウが吐き捨てるように言った。

「乗るなら早く乗れ、乗らないなら帰れ!」

「う~ん、どうしようかな?」

シンジは真剣に悩んでいた。
自分が帰ってしまうと、レイが乗せられるだけだということは分かっている。
でも、言いなりになるのもちょっと気に食わない。
しかし、目の前の男の理不尽な言葉に対しては、不思議と怒りや苛立ちといった感情は湧いてこなかった。
父親であるという意識も殆ど無い。
が、それは無理もないだろう。
生まれてからの14年間の内、この男に育てられたのは、物心がつく前の4年間だけなのだから。
その頃の記憶としてシンジの中に残っているのは、優しかった母親の面影だけである。

NEON GENESIS EVANGELION Vol.01≪大特価 夏のDVD祭り 第1弾 25%OFF!≫【KIBA-1001】=>25...

NEON GENESIS EVANGELION Vol.01≪大特価 夏のDVD祭り 第1弾 25%OFF!≫【KIBA-1001】=>25...

「まあ、このオッサンの言うことは置いといて、この件については保護者と相談したいと思います。」

「オ、オッサン・・・・・?ちょっと待って、シンジ君の保護者って碇指令でしょ?」

「へ?この人が?まさか!保護者というのは僕を育ててくれた人のことです。僕を捨てた人のことじゃありません。」

さらりと嫌みを言うシンジを無言で睨み付けるゲンドウ。
険悪な雰囲気にミサトは頬を引きつらせていたが、シンジは一向に堪えたようには見えない。
虎をも一撃で倒す和尚や平気で人体実験するようなドクターと暮らしていれば、人相の悪いオッサンに睨まれるくらいのことで、いちいちリアクションする気にもならない。

「そうだ、相談する前に、このネルフという組織とか、エヴァって言うロボットとか、あの使徒って言う怪物について教えて頂けませんか?知らないと相談できませんから。」

「シンジ君、その辺の事柄はトップシークレット、機密事項なのよ。あなたの保護者というのが、どこの誰だかは知らないけど、これを知ったらタダでは済まないわ。」

「どうなるんです?」

「守秘義務を守る事を誓ってもらった上で、私たちの監視下に入って貰うことになるわ。」

「つまり?」

「この町に住んで貰うことになるわね。有る程度、行動を制限することになるかも知れないわよ。」

「その辺も一緒に相談してみます。」

「それだけの覚悟が有るかどうかを、まず確認して。それがなければ、機密事項については話しては駄目よ。」

「分かりました。じゃあ、さっきのことについて、教えて下さい。」

「リツコのとこに行きましょ。その方が早いわ。」

「もし、僕の保護者がこの町に住むことになったなら、僕と一緒に住めるんですよね?」

「それは、大丈夫だと思うけど。」

「嬉しいなあ、また一緒にいられるなんて。」

「ふふっ、そういう顔してると可愛いのにね。」

「なんか、言いました?」

「べっつに~。」

談笑しながら二人が歩き去っていった廊下に、ゲンドウだけがただ一人取り残されていた・・・・・・。

「ふっ、問題ない・・・・・・・。」

 続く


© Rakuten Group, Inc.