第16話 新たな住居第16話 新たな住居「久しぶりだな、シンジ。」 「あなたが僕の父さんなんですか?」 「な、なに言ってるのよ、シンジ君!あなたのお父様でしょ?!」 「シンジ、お前のことは葛城一尉に一任してある。今後は彼女の指示に従え。」 「葛城さんに一任?指示って、いったい何の話??」 「お前は、エヴァンゲリオン初号機専属パイロット サードチルドレンとなって人類を滅亡から救うために使徒と戦うのだ。」 「僕が?父さん達は戦わないの?そのためのネルフじゃないの?」 「エヴァには選ばれた者しか乗ることは出来ない。そして、お前が一番上手く扱うことが出来るのだ。」 「僕が?本当に?」 何故かニヤリと笑うシンジ。 「シ、シンジくん!どうしたの?なにがおかしいの?」 ネルフ内で、誰もが畏怖を感じる総司令、碇ゲンドウを相手にからかうように笑うシンジを見て、ミサトは気が気ではない。 「いえ、そんな都合の良い話なんて有るのかな、と思っただけですよ。」 笑いながらミサトに答えて、ゲンドウに向き直るシンジ。 「イヤだと言ったらどうするの?」 「イヤならば、もと居た所に帰れ!」 「シンジ君!これは人類全ての命がかかってるのよ!イヤとかイヤじゃないとか言うレベルの話とは違うのよ!!」 慌ててミサトが話に割り込もうとするが、意に介さずゲンドウは続けた。 「人類の存亡を賭けた戦いに臆病者は不要だ!」 「怪我した女の子や何も知らない子供を戦わせて、地下に潜って隠れているような臆病者達は必要なの?」 「・・・・・・・・・・・・・・」 シンジの皮肉に一言も返すことの出来ないミサト。 しかし、何を考えているのか、何も考えていないのか、ゲンドウが吐き捨てるように言った。 「乗るなら早く乗れ、乗らないなら帰れ!」 「う~ん、どうしようかな?」 シンジは真剣に悩んでいた。 自分が帰ってしまうと、レイが乗せられるだけだということは分かっている。 でも、言いなりになるのもちょっと気に食わない。 しかし、目の前の男の理不尽な言葉に対しては、不思議と怒りや苛立ちといった感情は湧いてこなかった。 父親であるという意識も殆ど無い。 が、それは無理もないだろう。 生まれてからの14年間の内、この男に育てられたのは、物心がつく前の4年間だけなのだから。 その頃の記憶としてシンジの中に残っているのは、優しかった母親の面影だけである。 NEON GENESIS EVANGELION Vol.01≪大特価 夏のDVD祭り 第1弾 25%OFF!≫【KIBA-1001】=>25... 「まあ、このオッサンの言うことは置いといて、この件については保護者と相談したいと思います。」 「オ、オッサン・・・・・?ちょっと待って、シンジ君の保護者って碇指令でしょ?」 「へ?この人が?まさか!保護者というのは僕を育ててくれた人のことです。僕を捨てた人のことじゃありません。」 さらりと嫌みを言うシンジを無言で睨み付けるゲンドウ。 険悪な雰囲気にミサトは頬を引きつらせていたが、シンジは一向に堪えたようには見えない。 虎をも一撃で倒す和尚や平気で人体実験するようなドクターと暮らしていれば、人相の悪いオッサンに睨まれるくらいのことで、いちいちリアクションする気にもならない。 「そうだ、相談する前に、このネルフという組織とか、エヴァって言うロボットとか、あの使徒って言う怪物について教えて頂けませんか?知らないと相談できませんから。」 「シンジ君、その辺の事柄はトップシークレット、機密事項なのよ。あなたの保護者というのが、どこの誰だかは知らないけど、これを知ったらタダでは済まないわ。」 「どうなるんです?」 「守秘義務を守る事を誓ってもらった上で、私たちの監視下に入って貰うことになるわ。」 「つまり?」 「この町に住んで貰うことになるわね。有る程度、行動を制限することになるかも知れないわよ。」 「その辺も一緒に相談してみます。」 「それだけの覚悟が有るかどうかを、まず確認して。それがなければ、機密事項については話しては駄目よ。」 「分かりました。じゃあ、さっきのことについて、教えて下さい。」 「リツコのとこに行きましょ。その方が早いわ。」 「もし、僕の保護者がこの町に住むことになったなら、僕と一緒に住めるんですよね?」 「それは、大丈夫だと思うけど。」 「嬉しいなあ、また一緒にいられるなんて。」 「ふふっ、そういう顔してると可愛いのにね。」 「なんか、言いました?」 「べっつに~。」 談笑しながら二人が歩き去っていった廊下に、ゲンドウだけがただ一人取り残されていた・・・・・・。 「ふっ、問題ない・・・・・・・。」 続く |